その3

2004年6月7日
彼女の家に向かって歩く。
ただ心配で心配で・・・

しかし彼女の家の前まで来て長太郎はふと考えた。
彼女は風邪・・・寝込んでるはず・・・
って事は行ったとこで会える訳がないのだ。

「俺ってば何やってるんだろう・・・」

我ながら自分の行動が情けなくなる。彼女の部屋の窓を見上げ大きなため息をつく。
そして何か思い出したかのように鞄の中を探る。

「そうだ、さっきのメールの返信まだだったっけ」

長太郎は携帯を取り出すと先ほどのメールの返事を打つ。

[風邪は大丈夫かい?
俺が昨日無理させちゃったからかな?
今日はちゃんと寝てるんだよ!
         長太郎]

送信ボタンを押す。
すると直ぐに彼女から返事がきた。
あまりの速さに長太郎は慌てて携帯を確認する。


[声は出ないんだけど、熱はないんだよ。
それに風邪ひいたの長太郎のせいじゃないから安心して(*^ω^*)
明日は行けると思うから、明日いつものところでね!]

明日・・・
その言葉が痛かった。
明日まで会えないのかと思うと長太郎は・・・
長太郎は自分でも無意識のうちに返事を打っていた。
そしてチャット状態で会話を続ける。

[今日会えないかな?俺部活終わったらお見舞いに行くよ。駄目かな?]

[私も長太郎に会いたいけど風邪うつしちゃ悪いし・・・ね!]

[じゃあ今部屋の窓からちょっとでいいから顔出してもらえないかな?俺今ゆずるの部屋の前なんだ]

そのメールにゆずるは慌てて部屋のカーテンを引く。
そこには長太郎が心配そうな顔で立っていたのだった。

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